2014年9月24日水曜日

アメリカのソフトウェアエンジニアの待遇

アメリカのソフトウェアエンジニアの待遇について書こうと思う。

【注意】まず、一口にアメリカと言っても幅が大きいのでここではシリコンバレーに限定する。また、スタートアップなどの待遇についてはよくわからないので、ある程度名の知れた企業および世界的大企業を対象にする。また、内容はあくまで筆者が経験したこと、および他人から聞いた範囲の話なのでうわさ話程度に思っていただきたい。

【有用なサイト】まず、アメリカのIT企業の給料を具体的に知りたい方にはこのサイトをお勧めする。Glassdoor このサイトは各種企業の給料をポジション別に、現在および過去の従業員が自分がもらっていた給料を匿名で公開しているサイトだ。もちろん匿名なのでなかにはうその情報もあるかもしれないが、一応信頼できるサイトとして知られている。このサイトにはIT企業だけではなく、そのほかの業種の企業、例えば金融やコンサルなどの企業の給料も登録されている。具体的に見てみよう。例えばGoogleのSoftware Engineerの給料は4500人ほどから投稿があり、平均は$118,940となっている。ただし、この金額はボーナスは含まれておらずボーナス込みの平均は$146,417となっている。また、給料の幅は$78,000からなんと$555,000となっている。ボーナス込みの下限とボーナスなしでの下限が同じになっているのでおそらくボーナスを空欄にして投稿した人がいるのだろう。ちなみにこれらの給料は税引き前である。FacebookのSoftware Engineerの平均はボーナス込みで$171,884である。ただし、これは平均なので中間値はもっと低いと思われる。

【初任給】また、これらの大企業に大学卒後にエンジニアとして入社した場合の平均年収は$100,000くらいと言われている。修士卒の場合はそれより当然高くなり、PhDの場合はさらに高くなり初任給で$150,000もめずらしくない。もちろんその後の伸びや出世は入社後の評価によって決まる。

【転職】転職に関しては、みな頻繁に行う。むしろ転職を使って自身の給料アップを勝ち取るのが普通だ。また、実際に転職しなくても、他の企業からの引き抜きのオファーがあったことを会社に伝えて会社間で競わせたりも一般的だ。中には、2~3年で転職を繰り返し、名の知れた大企業は一通り在籍したというようなひとも珍しくない。古い日本の企業のように入社後は定年まで働くことが期待され、社内のいろいろな部署を経験しながら出世を目指すというようなスタイルは存在しない。あくまで仕事は会社との契約であり、仕事を行う対価として給料をもらい、他にもっと良いオファーがあれば迷わず転職するという意識がある。その代わり、クビになるのも一瞬である。会社の業績が悪い場合のレイオフは日常茶飯事だし、部署の業績が悪ければ一握りのキーマンを残して部署ごとクビなどは良く聞く話しだ。なのでスキルアップは非常に重要で、みな一生懸命働き、ネットワーキングを大事にする。

【ボーナスおよび福利厚生】話をもとに戻す。ボーナスに関してはキャッシュおよびストック(Restricted Stock Unit)の組み合わせが多いようだ。また、大企業であれば健康保険や401kのマッチング、社員割引などの福利厚生もしっかりしており、社内に無料のジムがあったりバスケットコートがあったりする。また社内研修も充実しており様々な技術の講習会などがあったりする。有名な話ではあるが、Googleは無料のカフェを社内に持っており、フレンチや生牡蠣などの高級料理も全て無料らしい。最近は、無料のカフェを提供する会社が増えてきたように思う。

【インターンの待遇】以上はフルタイムの話であるが、これらIT企業でのインターンの待遇もすばらしい。学部生のエンジニアリングのインターンであれば月$6,000は普通である。MasterやPhDの学生であればそれよりもさらに上で、月$9,000+家賃が月$2000するようなアパート付きというような待遇もめずらしくない。また、インターン中の評価が良ければフルタイムの仕事のオファーを出すのが一般的で、行きたい企業でインターンをすることが入社への近道となっている。なぜ、インターンにこのような高待遇を与えるのかというと、シリコンバレーでは優秀なエンジニアの獲得競争が激からだ。つまり、現時点では売り手市場であり、トップスクールを高いGPAで卒業し、在学中にプログラミングコンテストで優勝したような学生であれば複数の大企業からオファーをもらい、給与の額を競わせるようなこともあるようだ。インターンを高待遇で迎え入れ楽しいイベントなどでもてなして、自社の良さをアピールして優秀な人材には卒業後に入社してもらうといういわば囲い込み戦略である。これらの事例はシリコンバレーのIT企業がいかに人材を重要視しているかを示している。もちろんいくら売り手市場とはいえ、簡単にインターンとして雇ってもらえるわけではなく、複数の面接や書類審査を通過したものだけがオファーをもらえることになる。また、同じ企業で同じポジションのインターンであっても給料の額が違ったりする。

【エンジニアが主役】シリコンバレーではエンジニアが主役である。そのためエンジニアはみな自分がエンジニアであることを誇りに思っており、実際に一目置かれ、高待遇で迎えられる。そういう意味ではシリコンバレーはエンジニアにとっては思いっきり仕事に没頭できリターンも得られるという非常に良い環境と思う。

【デメリット】
良いことばかりかくと胡散臭くなるので悪い点も少し書いておく。上で書いたように、大企業であってもレイオフが簡単に行われるのと、企業の栄枯盛衰が激しいので、安定という面ではよろしくない。また、技術の流行り廃りがあるので、自分の持っているスキルが時代遅れにならないようにしないといけない。そのためには、自分で勉強するとか、スキルが身につくような環境を求めて自ら転職などの行動をおこしていかないといけない。

【最後に】シリコンバレーでは、ソフトウェアエンジニアだけでなく、ロボット系、機械系のエンジニアやデータサイエンティストの募集も同じような高待遇で募集があるので日本人のエンジニアで高収入でやりがいがある仕事がしたい方にはぜひシリコンバレーに来ることをお勧めしたい。採用プロセスなどに関しては別の機会に書きたいと思う。





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