2016年8月6日土曜日

アメリカのクレジットカード



アメリカのクレジットカードは入会ボーナスが非常に太っ腹で、一ドルあたりにもらえるポイントも高かったりする。SSNを取得したばかりだと、良いカードにはなかなか審査が通らないが、最初のクレジットカードをゲットしてから支払い等問題なく1年間すぎればいろいろな素晴らしいカードを保持することができる。SSNを取得したばかりの場合は普通のアメリカのカードはまず審査が通らないが、ANAカードやJALカードは日本の情報をもとに審査してくれるので通りやすい。また、ANAカードの場合、入会ボーナスとして5000マイルもらえる。ANAカードはSSNがなくてももらえるが、後日SSNをゲットした後にその情報をカード会社に伝えること。そうしないとクレジットヒストリーがたまらない。支払い遅れは絶対にしない、毎月請求額全額を払うという2つを必ず守ること。




無事、最初の1年が経過したらそこそこ良いカードにアプライできるようになる。自分のクレジットスコアはCredit Karmaなどからいつでも簡単に無料で確認できる。筆者のお勧めのカードは以下。


The Starwood Preferred Guest® Credit Card from American Express
世界的なホテルチェーンであるSPGグループのAmexのカード。
入会ボーナスは3ヶ月以内に、3000ドル使うことで25000ポイント。
年会費は初年度無料で二年目以降は95ドル。
SPGのポイントは、ANA, JALを含む様々なエアラインのマイルに1:1以上で移行でき、さらに20000ポイントごとにボーナスで5000マイル追加でもらえる。
当然SPGホテルでの無料宿泊にも使え、シェラトンなどの高級ホテルに入会ボーナスだけで2泊はできる。
また、様々な場所で使えるWiFiサービスであるBoingo Wifiのメンバーシップが無料でついてくる。
ポイントは基本は1ドルにつき1ポイントであるが、SPGの支払いの場合は2ポイントもらえる。
さらに、Foreign Transaction Feesが無料なので、日本でこのカードを使った場合でも為替手数料がかからない。

Amex EveryDay® Preferred Credit Card
アメックス独自のMRポイントがたまるカード。
入会ボーナスは3ヶ月以内に1000ドル使うと15000ポイント。
年会費は95ドル。
MRポイントはANAを含む様々なエアラインのマイルに1:1で以降できる。また、ホテルのポイントに移行することもできるので使い勝手がよい。
このカードの良いところはポイント付与率である。スーパーマーケットだと1ドルあたり4.5ポイント(年間6000ドルまで)、ガソリンスタンドだと3ポイント、その他は1.5ポイント付与される(毎月30回以上このカードを使って買い物した場合。この条件はアマゾンでポイントを0.5ドル分を自分に何回も買うことで間単にクリアできる。)
我が家は普段の買い物は基本このカードを使っている。




2016年8月1日月曜日

日米比較(老後編)

日本とアメリカのどちらが暮らしやすいかの比較はいろいろな観点からできるが、今回は老後の暮らしやすさという観点から比較してみる。

まず、日米両方共、リタイヤ後の公的年金というものが存在し、死ぬまで毎月一定額をもらえるというものだ。詳細については省くが、豊かな老後を送るには一般的には公的年金だけでは足りないと考えられる。日本の場合は、終身雇用のもと、退職金が数千万円出て、それを老後の資金として使うという場合が多いが、アメリカでは退職金は一般的に存在しない。なので、自ら各種制度を利用しつつ自己責任でリタイヤ後の資金を蓄えるという前提になっている。

支出面での一番大きな違いは医療費だ。アメリカでも一応メディケアという高齢者向けの公的な健康保険が存在しているが、最低限の保障だけであるので、病気になったときにそれだけで良いケアを安く受けることはできない。なので、一般的には、自分で民間の医療保険に加入することになる。企業や政府機関で働いている間は、福利厚生の一環として健康保険に安く加入できるのだが、(例えば筆者は州立大学のリサーチアシスタントであったので、州の職員向けの医療保険に加入でき、年間で一人1500ドルほどですんだ)リタイヤ後はそのようなベネフィットは受けられないので、個人として健康保険に加入することになり、さらに年齢が高いことから年間一人当たり10,000ドル以上(月900ドル以上)払うことになる。一方、政府機関で一定年数以上働いていた場合やごく一部の企業で定年まで働いていた場合では、リタイヤした向けの健康保険プランが用意されており、現役時と同程度の保険料負担ですむ。

日本はご存知のとおり、公的な健康保険が充実しており、一般的には保険料が安いと考えられているが、収入に応じて保険料が高くなる仕組みとなっている。例えば、年収一千万円以上などの高額所得者の場合は、月10万円近くを健康保険料として払うことになる一方、無職の場合は月1万円少しで加入でき、得られるサービスは同等となっている。一方アメリカではそのような仕組みはなく、収入に関係なく、保険料に応じたサービスを受けることとなる。また、前述したように、大企業や政府機関で働いていれば少ない負担で良い保険に加入できるので(一人年間15万円とか)、システムとして、貧富の差がより拡大するようになっている。アメリカ人の平均寿命が日本人より短いのは老後に良い健康保険に加入できず、適切な医療を受けられない人が多いからではないかと筆者は勝手に予想している。

このような背景から、医療保険の面から考えると、現役時代はアメリカのほうが有利であるが、保険料が一気に高くなる老後においては日本のほうが有利であると筆者は考える。

もうひとつの大きな支出が持ち家がある場合の固定資産税だ。アメリカの場合、だいたい年1%なので、例えば500,000ドルの持ち家の場合、毎年5,000ドルは固定資産税として払うことになる。一方、日本の場合は住宅用の固定資産税は0.4%ほどなので、アメリカの半分以下ですむ。なので、持ち家がある場合、日本のほうが税負担が軽いので有利となる。

以上の理由から、今のところの筆者の結論は、現役時はアメリカが、老後は日本が有利、である。



2016年7月29日金曜日

アメリカで貯蓄する(その2)

前回、貯蓄の方法としてSavingとCDについて書いたが今回は、投資信託について書く。
我が家はSavingを基本とし、残りの余裕資金をCDと投資信託で回すことにした。個別の株取引についてはもう少し余裕ができたら考えることにする。

投資信託であるが、Charles Schwab‎、Vanguard、Fidelity、Betterment、Wealthfrontなどの会社が有名である。そのうち、最近人気なのがBettermentとWealthfrontで、両方とも運用をコンピュータアルゴリズムにさせることで手数料を大幅に抑えている点が特徴である。また、運用の際は、リスク許容量を客が指定し、それに合わせて自動でポートフォリオを作成してくれる。ポートフォリオ内の投資信託は基本的にインデックスファンドであり、例えば米国株のインデックスファンド(ETF)30%、外国株のインデックスファンド、20%、新興国のインデックスファンド15%、天然資源5%などのように、適正に分散してくれる。私はソフトウェアエンジニアなのでかなりバイアスがかかっているが、アルゴリズム運用のほうが人間よりも信用できる気がしている。なぜインデックスファンドかというと、分散投資が簡単にできるという点もあるが、手数料が安いことが大きいらしい。

我が家はWealthfrontを使ってリタイヤ後の資金をためることにした。ルールとして月々一定額を預け入れ、リタイヤ後まで引き出しはしないこととした。いろいろ調べた結果、一番損するパターンは値動きに合わせて一喜一憂して売り買いを繰り返すことらしい。特に素人はこれをしがちで実際私もだいぶ前に、日本で景気が良かった時に、周りの株で儲かったという話を聞いて投資信託を30万円分購入したとたん、景気が悪くなり半額になってしまった。そこで売らずにいればいまごろ30万円を超えていたかもしれないのに、焦って15万で損切りしてしまったという典型的な素人の失敗である。なので、景気が悪くなって資産価値がさがっても恐怖心から換金しないで今まで通り積み立てる。これをドルコスト平均法と呼ぶらしい。



2016年7月27日水曜日

アメリカで貯蓄する(その1)

このたび学生から社会人に復帰するにあたり、リタイヤ後の生活や将来の家購入のためにどのように貯蓄をするかの計画を立てたのでここにまとめておく。当方は金融に関しては素人なので、間違った点もあるかもしれないので了承いただきたい。

最近のアメリカの会社(IT系)には退職金制度がない。そのかわり401kという日本でもおなじみの制度があり、これは、給料の数%を個人の401kアカウントに税金適用前に拠出することができる。税金の支払いはリタイヤ後に引き出すときにする。自分の会社では最大6%まで拠出できる。それに対して、会社が、マッチングといって、自分の拠出した額に応じた額を自分のアカウントに振り込んでくれる。例えば、100%マッチングといえば、自分が拠出した額と同額を会社がだしてくれる。自分の401kアカウントはFedilityなどの証券会社において開設し、どのように運用するかを自分で決める必要がある。この制度は税金面でもお得なので最大限利用すべき。

ソーシャルセキュリティーは日本でいう国民年金・厚生年金のようなものであるが、日本と違い、所得に応じて支払い利率が決まっていて、税金のように給与天引きされる。もらう年金の額は支払った額に応じて変わるので、現役中に所得が高くてたくさんソーシャルセキュリティーを払えばそれに応じてもらう額も増える。また、配偶者がいる場合は、年金額の半分が追加でもらえる。ただし、配偶者も働いていて、ソーシャルセキュリティをもらえる資格がある場合は、本人としてもらうか、配偶者としてもらうかを選択することになる。


上記2つだけでは当然足りないので、なんらかの方法で貯金をしていかないといけない。我が家では毎月の給料から一定額を必ず貯蓄に回すようにした。貯蓄の方法としてはSaving Account, CD, 投資信託、株などなどが一般的なようだ。

まずSavingだが、これは利子がつく口座であって、多少の出し入れの制限があったりするが基本的にはいつでも引き出せる口座である。銀行によって利率がかなり違い、さらにBank of AmericaやChase, Citiなどの大手銀行は低い傾向がある。反対に利率が高いのはBarclays bankやAlly Bankなどのオンラインの銀行である。なので、普段使う利息がつかないChecking Accountは大手銀行で持っておき、Saving Accountはなるべく利率が高い銀行に持つのが賢い。2016年7月現在でBarclays BankのAnnual percentage yield (APY)は1.0%なのに対し、Bank of Americaの0.01%でなんと100倍も違いがある。

CDは日本で言う定期預金のようなもので、期間を決めて一定額を預ける口座であり、期間中の引き出しにはペナルティーがかかるものである。CDの期間が短い期間のAPYはSavingのAPYより低いので、意味がない。5年ものであればAPYは1.75%になるのでSavingよりお得になる。ただし、期間中はおろせないので余裕資金で運用するべき。詳しくは割愛するがCD Ladderという方法がおすすめ。

SavingとCDの優れている点としては安全性があげられる。両方ともFDICによって預金が口座当たり10万ドルまで保証されているので元本割れする心配がない。ただし、インフレ率に負けると実質元本割れになってしまうのが問題。

我が家では、まず、普段の支払い用のCheckingとは別に、緊急時のEmergency Fundとして10ヶ月収入がなくても暮らせる額を最低限Savingに常にある状態にすることにした。

CDは引き出しが基本的にできないので、Emergency Fundを超える分でかつ、確実にすぐに必要ではない金額だけをCDで運用することにした。

(続き)




2016年7月25日月曜日

アメリカでソフトウェアエンジニアとして就職する

筆者は2011年からアメリカの某大学の博士課程に在籍しており、この度、5年間の学生生活を終え、秋からシリコンバレーの某企業でソフトウェアエンジニアとして働くことになった。最近まで就職活動をしていたので自分の備考録、兼、誰かの参考になることを願って体験記を書いておく。

【注意事項】
・コンピューターサイエンス系の分野でアメリカでPhDを取得した者としての経験です。
・アメリカ国内からアメリカ企業への就職の話です。
・下記の内容は特定の企業に関するものではなく、一般論です。

【行きたい企業のリストアップ+リサーチ】
PhDの場合、自分の分野で強い企業はだいたいわかっているので、企業のリサーチはそれほど難しくない。筆者の場合は、企業を大企業、研究機関、日系企業、スタートアップにカテゴリ分けして、エクセルで企業ごとの情報をまとめた。例えば、筆者は以下の企業を大企業にカテゴリ分けした。(eBay、Google、Qualcomm、Apple、facebook、Cisco Systems、
NVIDIA、A9、Intel、Microsoft、Uber、HP、Tesla、HERE、Amazon)

【具体的ポジションの検討】
大企業に関しては、常に一定数のポジションを募集しているが、研究機関の場合は、そもそもその時点で募集があるかどうかがわからない。筆者の場合はその分野のメーリングリストに仕事募集の投稿が頻繁に送られ、さらに学会のウェブサイトに仕事募集の掲示板があるのでそういったところを定期的にチェックする。また、LinkedInやGlassdoorといったサイトでも見つかる。各企業での待遇などは知り合いにそれとなく聞いたり、Glassdoorでチェックする。

【コンタクト】
受けたいポジションが見つかってまず最初にすべきことは、そこの企業にいる知り合い・友人に連絡してリファー(推薦)してもらうこと。そうすることで、履歴書だけで落とされる可能性がだいぶ下がる。当然、行きたいチームの中に知り合いがいて、その人物が強く推薦してくれるのが最高である。自分からコンタクトしない場合でも、企業のリクルーターから連絡が来てインタビューを受けないか聞いてくることが多い。そういう場合も電話インタビューまで行く可能性は高いと思う。知り合いがいない場合でも、ウェブのフォームから申し込むのではなく、なるべくそのチームのマネージャーとかメンバーに直接コンタクトを取るのがベターだと思う。ウェブのフォームだと見過ごされる可能性が高いが、直接コンタクトを取って、自分のバックグラウンドや熱意などを伝えられれば電話面接まで行ける可能性が高まると思う。特に、自分のPhDのアドバイザーが有名な教授であれば全てにおいて非常に有利。

【電話面接】
技術的な面接の前に、チームのマネージャーやリクルーターと一回電話で話すことが多い。これは、面接を進めるべきか、お互いの考えが一致しているか、適切なバックグラウンドを持っているかの確認である。これに通ると、電話(もしくはSkypeなど)による技術面接が複数回ある。これはポジションによって異なるが、自分の専門分野に関する試験であったり、純粋なコーディングの試験であったりと様々である。オンラインのコーディングテストを最初に課すところも多い。

【オンサイトインタビュー】
無事、電話面接をパスすると、オンサイトインタビューに呼ばれる。これは、実際に会社のオフィスに呼ばれて、一日がかりで複数の人と面接するというものである。基本的に、旅費・滞在費・食費は全て企業が払ってくれるので金銭的な心配はしなくてもよい。オンサイトインタビューに呼ばれるということはかなり有望視されているということなので自信を持っていいと思う。面接で聞かれる内容はほぼ技術的な内容である。一日中ぶっ通しなので非常に疲れる。

【結果通知】
オンサイトインタビューが終わると後日、結果の連絡が来る。結果がなかなかこない場合は、企業がほかの候補者の面接が終わるまで結果を言うのを保留していると考えてよい。この場合は、ただ待つわけには行かないので、ほかの企業の面接を進める。すでに他の企業からオファーをもらっている場合は、その事実と、そのオファーの返事の期限(通常は1週間ほど)を保留になっている企業に連絡して、早く結果をくれるように催促するべき。

【重要な点】
就活においていくつかの重要な点に気づいたので列挙する。

<ネットワークの重要性>チーム内に自分を推薦してくれる人がいるのは非常に強いので日ごろから周りの人と良い関係を築き、さらにネットワークを広げていくのは仕事探しにおいて非常に重要。

<PhDのメリット>
今回の就活において、米国の大学でのPhDの取得のメリットを非常に大きく感じた。まず、PhDの間に何枚か論文を書くので、紛れもない自分の実績が世の中に残る。有名な学会や論文誌で発表していれば、それだけで大きなアドバンテージになる。採用側としても、確たる証拠があるので、判断がしやすい。また、PhDは専門を極めることなので、自分の分野の需要が高い場合は大きなアドバンテージになる。下でも述べるが、アメリカの企業の採用ではポジションごとに仕事の内容が細かく設定されていて、研究開発などだと明確にPhDのみを採用しますとか書いてあることがある。また、PhDの数年間で良いネットワークを築けていれば非常に大きなアドバンテージになる。

<ポジションと自分のバックグラウンドのマッチング>
アメリカの採用はポジション別採用である。そのポジションごとに求められるスキル・経験・仕事内容などが細かくJob descriptionとして書かれている。もちろんその内容が自分のやりたいことであり、かつ自分の専門分野であることがオファーをもらうにはベストである。自分の専門から少し外れるくらいは大丈夫かもしれないが、全くの別分野は厳しいだろう。例えば、電気工学の半導体の分野でPhDを取った人が、マシンラーニング関連のPhDを要求するポジションで採用されることは基本的にはないだろう。ただ、専門性をそこまで要求しないポジションであれば可能性はあるかもしれない。論文以外でもオープンソースの開発に貢献しているような場合も、個人としての成果として残るので採用側としても判断がしやすいだろう。


<アプライするスケジュールの重要性>
基本的に、オファーの返事というのは1~2週間以内にしなければいけない。なので、自分の志望度を考慮すると、第一志望から順々に受けていくのがいいと思われるが、面接は数をこなせば上達していくものなので、第一志望を後に受けるという手もある。微妙なのは例えば、第二志望からオファーが来たが、第一志望をまだ受けていない場合。第二志望のオファーを蹴っても第一志望からオファーが来る保証は当然無いので悩ましいことになる。なので、複数の企業と同時進行で面接を受けるのが良いかも。

<研究職か開発職か>
ここでは、研究職=論文を書く仕事、開発職=製品開発の仕事と定義する。PhDで企業就職する場合、どちらの職につくか悩ましいところがある。研究職の良いところは自分名義で論文を出せるので、会社での仕事が自分の業績として載せることができる。開発職の良いところは、製品に直接携われるので、より直接的に社会にインパクトを与えることができる。また、チームで仕事をするのでより社会的インパクトのある大きなプロジェクトに携わることができる(例えばGoogleの自動運転車など)。また、一般的には開発職のほうが待遇が良いし、ポジションの数も多い。ただし、自分の名前が外に出せるわけではないので、一度開発職で数年過ごすと、研究職にその後戻るのは難しくなる。研究職か開発職かの違いは面接においても顕著である。研究職の面接の場合は、自分の過去の研究内容の発表およびそれに基づくディスカッションなどが多く、コーディング能力はさほど、もしくはまったく問われない。反対に開発職の場合は、一般的に、よりコーディング能力が重視される。

<勤務地>
勤務地も企業の選択において重要だと思う。いわゆるシリコンバレーにはIT企業が多く集まっているので転職がしやすい。理由は、面接がやりやすい、引越しが楽、人が多いので情報が集まりやすいから。シリコンバレー以外だとシアトル、ニューヨークもIT企業が集まっている。田舎にある企業に行ってしまうと、抜け出すのが大変かもしれない。

<大企業かスタートアップか>
大企業のメリットは、安定性、待遇、豊富なリソースといったところがあげられる。また、外国人のビザサポートも充実している。スタートアップの場合は、安定性はないが、IPOしたり大企業に買収されたりすればストックオプションでウン億円手に入るかもしれない。社員数人のスタートアップではなくて、すでに名の知れた成長している数百人規模の会社に入るのもありかもしれない。ただやはり、最初は大企業に入り、ある程度経験を積んでからスタートアップでチャレンジするくらいのほうが筆者はいいのかなと思う。





2014年9月24日水曜日

アメリカのソフトウェアエンジニアの待遇

アメリカのソフトウェアエンジニアの待遇について書こうと思う。

【注意】まず、一口にアメリカと言っても幅が大きいのでここではシリコンバレーに限定する。また、スタートアップなどの待遇についてはよくわからないので、ある程度名の知れた企業および世界的大企業を対象にする。また、内容はあくまで筆者が経験したこと、および他人から聞いた範囲の話なのでうわさ話程度に思っていただきたい。

【有用なサイト】まず、アメリカのIT企業の給料を具体的に知りたい方にはこのサイトをお勧めする。Glassdoor このサイトは各種企業の給料をポジション別に、現在および過去の従業員が自分がもらっていた給料を匿名で公開しているサイトだ。もちろん匿名なのでなかにはうその情報もあるかもしれないが、一応信頼できるサイトとして知られている。このサイトにはIT企業だけではなく、そのほかの業種の企業、例えば金融やコンサルなどの企業の給料も登録されている。具体的に見てみよう。例えばGoogleのSoftware Engineerの給料は4500人ほどから投稿があり、平均は$118,940となっている。ただし、この金額はボーナスは含まれておらずボーナス込みの平均は$146,417となっている。また、給料の幅は$78,000からなんと$555,000となっている。ボーナス込みの下限とボーナスなしでの下限が同じになっているのでおそらくボーナスを空欄にして投稿した人がいるのだろう。ちなみにこれらの給料は税引き前である。FacebookのSoftware Engineerの平均はボーナス込みで$171,884である。ただし、これは平均なので中間値はもっと低いと思われる。

【初任給】また、これらの大企業に大学卒後にエンジニアとして入社した場合の平均年収は$100,000くらいと言われている。修士卒の場合はそれより当然高くなり、PhDの場合はさらに高くなり初任給で$150,000もめずらしくない。もちろんその後の伸びや出世は入社後の評価によって決まる。

【転職】転職に関しては、みな頻繁に行う。むしろ転職を使って自身の給料アップを勝ち取るのが普通だ。また、実際に転職しなくても、他の企業からの引き抜きのオファーがあったことを会社に伝えて会社間で競わせたりも一般的だ。中には、2~3年で転職を繰り返し、名の知れた大企業は一通り在籍したというようなひとも珍しくない。古い日本の企業のように入社後は定年まで働くことが期待され、社内のいろいろな部署を経験しながら出世を目指すというようなスタイルは存在しない。あくまで仕事は会社との契約であり、仕事を行う対価として給料をもらい、他にもっと良いオファーがあれば迷わず転職するという意識がある。その代わり、クビになるのも一瞬である。会社の業績が悪い場合のレイオフは日常茶飯事だし、部署の業績が悪ければ一握りのキーマンを残して部署ごとクビなどは良く聞く話しだ。なのでスキルアップは非常に重要で、みな一生懸命働き、ネットワーキングを大事にする。

【ボーナスおよび福利厚生】話をもとに戻す。ボーナスに関してはキャッシュおよびストック(Restricted Stock Unit)の組み合わせが多いようだ。また、大企業であれば健康保険や401kのマッチング、社員割引などの福利厚生もしっかりしており、社内に無料のジムがあったりバスケットコートがあったりする。また社内研修も充実しており様々な技術の講習会などがあったりする。有名な話ではあるが、Googleは無料のカフェを社内に持っており、フレンチや生牡蠣などの高級料理も全て無料らしい。最近は、無料のカフェを提供する会社が増えてきたように思う。

【インターンの待遇】以上はフルタイムの話であるが、これらIT企業でのインターンの待遇もすばらしい。学部生のエンジニアリングのインターンであれば月$6,000は普通である。MasterやPhDの学生であればそれよりもさらに上で、月$9,000+家賃が月$2000するようなアパート付きというような待遇もめずらしくない。また、インターン中の評価が良ければフルタイムの仕事のオファーを出すのが一般的で、行きたい企業でインターンをすることが入社への近道となっている。なぜ、インターンにこのような高待遇を与えるのかというと、シリコンバレーでは優秀なエンジニアの獲得競争が激からだ。つまり、現時点では売り手市場であり、トップスクールを高いGPAで卒業し、在学中にプログラミングコンテストで優勝したような学生であれば複数の大企業からオファーをもらい、給与の額を競わせるようなこともあるようだ。インターンを高待遇で迎え入れ楽しいイベントなどでもてなして、自社の良さをアピールして優秀な人材には卒業後に入社してもらうといういわば囲い込み戦略である。これらの事例はシリコンバレーのIT企業がいかに人材を重要視しているかを示している。もちろんいくら売り手市場とはいえ、簡単にインターンとして雇ってもらえるわけではなく、複数の面接や書類審査を通過したものだけがオファーをもらえることになる。また、同じ企業で同じポジションのインターンであっても給料の額が違ったりする。

【エンジニアが主役】シリコンバレーではエンジニアが主役である。そのためエンジニアはみな自分がエンジニアであることを誇りに思っており、実際に一目置かれ、高待遇で迎えられる。そういう意味ではシリコンバレーはエンジニアにとっては思いっきり仕事に没頭できリターンも得られるという非常に良い環境と思う。

【デメリット】
良いことばかりかくと胡散臭くなるので悪い点も少し書いておく。上で書いたように、大企業であってもレイオフが簡単に行われるのと、企業の栄枯盛衰が激しいので、安定という面ではよろしくない。また、技術の流行り廃りがあるので、自分の持っているスキルが時代遅れにならないようにしないといけない。そのためには、自分で勉強するとか、スキルが身につくような環境を求めて自ら転職などの行動をおこしていかないといけない。

【最後に】シリコンバレーでは、ソフトウェアエンジニアだけでなく、ロボット系、機械系のエンジニアやデータサイエンティストの募集も同じような高待遇で募集があるので日本人のエンジニアで高収入でやりがいがある仕事がしたい方にはぜひシリコンバレーに来ることをお勧めしたい。採用プロセスなどに関しては別の機会に書きたいと思う。





2014年9月23日火曜日

アメリカで新車を購入またはリースする

今回、3年間乗った中古の2003年式のTOYOTAのRAV4がいろいろと問題が発生してきたため(3ヶ月放置したらノイズが発生するようになった)、RAV4を売って新車のカローラを2年のリース契約した。アメリカのディーラーについてはいろいろと悪いうわさ(押しが強い、ふっかけてくる等)を聞いていたため、高く売りつけられないためにいろいろと事前学習をして購入に臨んだ。その結果、自分的には満足できる契約をすることができた。次回自分が車を購入する際の備考録として、また、これからアメリカで新車を購入またはリースしようという方の参考資料として、今回の経験を記録にまとめる。なお、リース、購入に関わらず共通の事項に関しては、「購入」という表記にする。自分はローンは今回想定していなかったのでローンについては触れない。

【買う車の選定】
まだ買いたい車が決まっていない場合は、ディーラーに行っていろいろ試乗させてもらえばよい。ただし、絶対にその日に契約しないこと。ディーラーは必ずその日中に契約させようとしてくるのできっぱりと断ること。いろいろ言ってきても無視して席を立つことが大事。こっちが客なので遠慮する必要は全くない。気に入らない車の場合は「I don't like it.」とハッキリ伝えること。最後は笑顔で「Thank you. I will think about it at home.」とでもいってそのまま帰ればOK。


【手持ちの車を売って新車を購入する場合】
まず、KBBというサイトで自分の車の現在の価値を調べておく。自分のRAV4は6900ドルくらいであった。そして、CARMAXに行って、見積もりをしてもらう。だいたい30分くらいで1週間有効の見積書をくれる。CARMAXは交渉を受け付けないポリシーで有名なので、CARMAXでは特に交渉はしなかった。結果、自分のRAV4は6000ドルという査定だった。CARMAXの査定はディーラーの査定より高くなることが多く、その場合、ディーラーにCARMAXからの見積書を見せれば同じ価格で買い取ってもらえる。また、売ったディーラーにおいて車を買うことにより、税金が節約できる。具体的には、買う車の価格-売る車の価格にしか税金が掛からなくてすむ。最も高く車を売る方法はcraigslistなどを使った個人売買らしいが、時間も手間もかかるので今回はそこまではしないことにした。

【事前準備】
買う予定の車の適正購入価格を、TruceCar、KBB、Edmundsといったサイトであらかじめ調べておき、一番安い価格を提示したサイトのページを印刷しておく。車の価格はMSRPという名前で表示されていて、商談の際はこれをいくらまで下げられるかを目標にする。サイトで調べた適正価格以上では絶対に買わないこと。通常MSRPにはFreight charge ( もしくは Delivery charge ) が含まれているが、必ず商談の際の値段交渉の前に、ディーラーが言うMSRVにFreight chargeが含まれていることを最初に確認する。

【ディーラーに行く】
まずは目当ての車を見せてもらい、試乗などをさせてもらう。アメリカの場合は、ディーラーの在庫から選んで、それをそのまま購入する形になるので、試乗する車が購入する車になる。なので不具合がないかを念のため試乗で確認する。買う車を決めたら、席についていよいよ商談に入る。いろいろと書類に記入するように言ってくるが、全て断り、「Let's talk about the price first.」とでも言う。相手のペースで話をすすめないことが重要。
商談の流れは以下のとおり。まず、MSRP以外にかかる費用について聞く。通常は、TAX、TAGS、Document Processing Fee($300程度)がかかる。TAXとTAGSは法定費用である。Document Processing Feeもディーラーによって決まっているのでここは交渉の余地はない。その他の費用もあるといわれた場合は必ず説明を求める。納得いかない費用がある場合は、うやむやにしないで、この時点で席を立って家に帰って調べること。遠慮は全く要らない。
その後、MSRPをいくらにできるかの交渉を始める。(ここで決める価格をCap Costという。)必ず向こうはいくらなら買えるのかを聞いてくるので、あらかじめ調べた適正価格の$1000下くらいの金額を言ってみる。するとそれは無理だと言ってくるのでじゃあいくらなら売るのかと聞く。その際、自分は他のディーラーからも見積もりを持っているし(実際には持っていない)、いくつかのサイトで適正価格も調べてあると言う。するとそれを見せろと言って来るので、それは見せられないと拒否し、そちらが可能な限りの最低価格を提示しろと言う。もし提示した価格が他のところの価格より高ければもう商談は終わりだとはっきり伝える。これまでのやりとりはどちらかというとディーラーに「こいつは手ごわいな」と思わせるための戦略である。ディーラーが根負けしたら実際に価格を提示してくる。もし、頑固なディーラーで価格を提示してこないようなら、あらかじめ調べたサイトのプリントを渡し、Can you beat it? と聞きながら渡す。ディーラーはおそらくマネージャーのところに相談に行き、その後、価格を提示してくる。ディーラーが提示してきた価格がサイトの価格より高い場合は、迷わず席を立つこと。これがとても重要。たいていの場合、ディーラーは「ちょっと待て。もっと良い価格を出すから」といってまたマネージャーのところに行き、今度はサイトの価格を下回る価格を提示してくるであろう。
その後、さらに頑張ってもいいかもしれないが、私は個の時点でCap Costについては合意した。今回の場合は、MSRPが$20,670に対して、Cap Costは$18,000にすることができた。(もちろんFreight Charge込みであることを確認)購入の場合はこの時点で商談終了であるが、リースの場合はさらに重要な交渉が待っている。なお、交渉の際は、必ず紙とペンを用意して、経過をメモし、合意事項について確認すること。相手の書く内容を信頼しないこと。

【車を売る】
価格が決まった時点で車の売却の話をする。まず、相手に査定させて、値段がCARMAXの価格より高ければそれで合意する。低い場合はCARMAXの査定証を見せればマッチアップしてくれる。してくれない場合は席を立つこと。そうすれば相手はあわてて査定を上げてくる。

【リースの場合】
ここまで話がまとまった時点で、リースの場合は、ファイナンス担当者との交渉に移る。ディーラー担当者やファイナンス担当者にCongratulationsなどと言われても、まだ買うか決めてないよとはっきり伝えること。向こうはこっちが買わなければならない気にさせるようにいろいろ仕向けてくる。
リース契約は、いろいろなことに気をつけなければならない。まず交渉の最初に、Close-end Leaseであることを確認する。これは2年後の価格は基本的に据え置くリース契約である。Open-end Leaseは2年後の価格がマーケットの状況によって変わる契約であり、避けるべき。ただし、ほとんどのディーラーは基本的にClose-end Leaseなので、これはあくまで確認のためである。また、Gap Insuranceがリース代に含まれているかも確認する。Gap Insuranceについては別サイトで調べていただきたいが、基本的には事故で全損したときや盗まれたときの保険である。
リースの場合に重要な数字は、Acquisition Fee、Cap Cost、Residual Value、Money Factor、Lease Term、Down Payment (頭金)、Minimum Mileageである。Acquisition Feeはリースをする際の手数料で交渉の余地はない。これはファイナンス会社に支払われる。自分の場合は$700であった(結構高い)。Cap Costはこれまでの商談で決めた購入価格。Residual Valueはリース終了後の車の推定価格である。これが高ければ高いほど支払い金額は低くなる。
ただし、Residual Valueもディーラーが決めるのではなく、ファイナンス会社によって決められているので交渉の余地はない。Residual Valueは一般に公開されていないが、こちらのサイト(http://www.cars.com/go/alg/index.jsp)で大体の値を知ることができる。私の場合はサイトで調べた価格が$13,475で実際は$15,481だったので想定していたよりかなり良い条件でリースをすることができた。また、Money Factorも同じサイトで調べることができる。Money Factorは金利のようなもので、2400をかけることで大体の金利に変換できる。Money Factorは自分のクレジットスコアによってファイナンス会社によって決められるので交渉の余地はないが、交渉の最中にわかるので値を聞くこと。Lease Termに関しては2年また3年にすること。それ以上の場合はローンのほうがお得といわれている。Down Paymentはいわゆる頭金であり、多ければ多いほど金利手数料は安くなる。ただし、車が盗まれたり修理不能な状態になった場合、既に支払ったお金は返ってこない(保険があるのでお金を支払う必要はないが。)ので、Down Paymentを低くしておいたほうが、その場合の損失が少なくて済む。自分はDown Paymentを最大限にしてしまったのでこの点は少し後悔。Minimum Mileageは年間の走行距離の限度であり、通常は15,000か12,000から選ぶ。12,000のほうが支払いは低くなるが、Minimum Mileageを超えた分の走行距離に関してペナルティがかかるので注意。
なお、こういった数字は事前に調べるなり自分であらかじめ決めておき、月の支払いがいくらくらいになるかをオンラインのシミュレータなどで見積もっておくこと。想定している金額より高くなってしまった場合は、家に帰って計画を練り直すこと。基本的に交渉の際にこちらから指定できる数字は、Lease term、Down PaymentおよびMinimum Mileageである。ファイナンス担当はこれらの数字を元に月々の支払額を提示してくる。内容に納得したら、必ず画面上で全ての数字が正しく入力されているか確認し、不明瞭な点があれば聞くこと。また、Cap Cost + Tax +Tag Fee + Document Processing Fee + Acquisition Fee - Residual Valueが、Down Payment + Monthly Payment × (Lease年数×12 - 1)と大体一致するかを自分で紙に書いて確認すること。もちろん金利およびGap Insuranceがあるので前者のほうが高くなるが自分で状況を整理するためにも紙に書くこと。
自分はGap Insuranceのことを忘れていて、なんで価格より支払額のほうがこんなに高いんだと文句を言い続け、最終的に席を立って帰ろうとしたら引き止められて$400さらにディスカウントしてくれた。向こうがそれはGap Insuranceだよとちゃんと説明してくれれば納得したのだが、向こうも単にシステムに数字を入れて自動で出てきた数字を伝えているだけなのでリース代がどうやって決まるのかを正確に把握していないようだ。面白いのは自分が部屋を出て行こうとしたらいろいろな人が集まってきて必死に説得され、最後はお偉いさんが出てきて、このお偉いさんに納得できない理由を説明したら$400のディスカウントをくれたこと。
最終的な契約の際は、わからない点をそのままにして契約して後で予想外のお金を取られていたりしていてもサインしてしまったら終わりなので慎重に。聞いても納得できない場合は、家で考えると言って席を立つこと。引き止められても無視。今回は、思ったより高くRAV4が売れたのと、Residual Valueが予想外に高かったことにより、$4800のDown Payment + 月々$35の支払いを2年間の契約で、かつ$1600のお釣りが来たので大満足の契約となった。
なお、リースの場合、自身が加入する自動車保険においてComprehensiveとCollision(車両保険)に加入する必要があり、その際のDeductionの額も指定される。これによって保険料が高くなったり低くなったりするので、あらかじめ調べておくと良い。大手の自動車保険会社ではオンラインで簡単にいくら変動するか調べることができる。


【まとめ】
1.事前の勉強および情報入手が非常に重要。
2.納得できないことがある場合は一回家に帰って調べる
3.価格が折り合わない場合は、席を立つ。そうすると相手は価格を下げてくる。あらかじめ調べた適正価格以上では絶対に買わない。
4.相手のペースにさせない。自分が商談をリードする。
5.交渉の経過を自分で紙にメモし、それをもとに相手との合意事項を確認すること。
6.強気にいくこと。ただし、頭は冷静に。
7.一人で行かない。必ず二人以上で。人数が多いほうが気持ちに余裕が生まれる。重要な決定の前には必ず相談する。