2016年8月1日月曜日

日米比較(老後編)

日本とアメリカのどちらが暮らしやすいかの比較はいろいろな観点からできるが、今回は老後の暮らしやすさという観点から比較してみる。

まず、日米両方共、リタイヤ後の公的年金というものが存在し、死ぬまで毎月一定額をもらえるというものだ。詳細については省くが、豊かな老後を送るには一般的には公的年金だけでは足りないと考えられる。日本の場合は、終身雇用のもと、退職金が数千万円出て、それを老後の資金として使うという場合が多いが、アメリカでは退職金は一般的に存在しない。なので、自ら各種制度を利用しつつ自己責任でリタイヤ後の資金を蓄えるという前提になっている。

支出面での一番大きな違いは医療費だ。アメリカでも一応メディケアという高齢者向けの公的な健康保険が存在しているが、最低限の保障だけであるので、病気になったときにそれだけで良いケアを安く受けることはできない。なので、一般的には、自分で民間の医療保険に加入することになる。企業や政府機関で働いている間は、福利厚生の一環として健康保険に安く加入できるのだが、(例えば筆者は州立大学のリサーチアシスタントであったので、州の職員向けの医療保険に加入でき、年間で一人1500ドルほどですんだ)リタイヤ後はそのようなベネフィットは受けられないので、個人として健康保険に加入することになり、さらに年齢が高いことから年間一人当たり10,000ドル以上(月900ドル以上)払うことになる。一方、政府機関で一定年数以上働いていた場合やごく一部の企業で定年まで働いていた場合では、リタイヤした向けの健康保険プランが用意されており、現役時と同程度の保険料負担ですむ。

日本はご存知のとおり、公的な健康保険が充実しており、一般的には保険料が安いと考えられているが、収入に応じて保険料が高くなる仕組みとなっている。例えば、年収一千万円以上などの高額所得者の場合は、月10万円近くを健康保険料として払うことになる一方、無職の場合は月1万円少しで加入でき、得られるサービスは同等となっている。一方アメリカではそのような仕組みはなく、収入に関係なく、保険料に応じたサービスを受けることとなる。また、前述したように、大企業や政府機関で働いていれば少ない負担で良い保険に加入できるので(一人年間15万円とか)、システムとして、貧富の差がより拡大するようになっている。アメリカ人の平均寿命が日本人より短いのは老後に良い健康保険に加入できず、適切な医療を受けられない人が多いからではないかと筆者は勝手に予想している。

このような背景から、医療保険の面から考えると、現役時代はアメリカのほうが有利であるが、保険料が一気に高くなる老後においては日本のほうが有利であると筆者は考える。

もうひとつの大きな支出が持ち家がある場合の固定資産税だ。アメリカの場合、だいたい年1%なので、例えば500,000ドルの持ち家の場合、毎年5,000ドルは固定資産税として払うことになる。一方、日本の場合は住宅用の固定資産税は0.4%ほどなので、アメリカの半分以下ですむ。なので、持ち家がある場合、日本のほうが税負担が軽いので有利となる。

以上の理由から、今のところの筆者の結論は、現役時はアメリカが、老後は日本が有利、である。



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